大人は時計をひと目で読めるので、どこが難しいのかが見えにくくなっています。けれど、初めてアナログ時計に向き合う子どもにとって、文字盤には分からないことがいくつも重なっています。教える前に、まずその中身を分けておくと、どこから手をつければよいかがはっきりします。
時計を読むのが難しい理由
子どもがつまずく原因は、大きく3つあります。
- 針が2本あり、役目がちがう:短い針は「何時」、長い針は「何分」。同じ文字盤の上で、2本が別々のことを表しています。
- 書いてある数字と、読む数がちがう:長い針が「5」を指していたら25分です。文字盤の数字をそのまま読むと、まちがえてしまいます。
- 60で一周する:ふだん使う数は10ずつ繰り上がりますが、時計の分は60で次の「時」に進みます。
この3つを一度に教えようとすると、子どもは何が分からないのかも分からなくなります。そこで、次の順に1つずつ進めます。
教える順番:なんじ→なんじはん→5分→1分
学校の教科書も、多くはこれに近い順番で進みます。家で教えるときも、この順を目安にすると学校とずれにくくなります。
- なんじ(ちょうど):長い針が12のとき。短い針が指す数字を読めば答えになります。まずは短い針の役目だけに集中できます。
- なんじはん:長い針が6のとき。短い針は数字と数字のあいだにあるので、「どちらの数字を読むか」を初めて考える段階です。
- 5分きざみ:長い針の数字1つ分が5分であることを知り、5、10、15…と数えて読みます。
- 1分きざみ:数字のあいだにある小さな目もりを数えて、「何時何分」まで読みます。
1つの段階が安定してから次へ進むのが基本です。「ちょうど」が読めないうちに「はん」を混ぜると、短い針の読み方があいまいなまま先へ進むことになります。
短い針から読む習慣をつける
時計を読むときは、いつも短い針から先に見るように伝えておくと、あとの段階で助けになります。日本語でも「4時25分」と、時を先に言うからです。
短い針が数字と数字のあいだにあるときは、「通りすぎたほうの数字」を読みます。4と5のあいだなら4時。これは「はん」や「何分」の段階で必ず出てくる考え方なので、早いうちから「短い針は、どの数字を通りすぎた?」と聞く習慣があると、あとで楽になります。
短い針と長い針の見分けがつきにくい子には、太さや長さのちがいを指でなぞらせてみてください。色で分けた練習用の時計もありますが、本物の時計は同じ色のことが多いので、長さで見分けられるようにしておくと安心です。
1日1回、本物の時計で聞く
練習用の問題をたくさん解くより、毎日の生活の中で一度だけ「いま何時?」と聞くほうが、長く続けやすい方法です。
- 朝、家を出る前
- おやつの時間
- お風呂に入る前
決まった場面で聞くと、子どもも「この時刻にはこれをする」と、時計と生活を結びつけて覚えていきます。読めたら「そう、7時半。そろそろ出る時間だね」と、時刻と行動をつなげて返すと、読む意味が伝わります。
避けたい教え方
よかれと思ってやりがちですが、遠回りになりやすい教え方もあります。
- デジタル表示で答え合わせをくり返す:答えは合っても、針の位置から考える練習になりません。答え合わせは、針を一緒に指さしながらするのがおすすめです。
- まちがいを笑う・せかす:時計は毎日目に入るものなので、苦手な気持ちが残ると、見ること自体を避けるようになります。
- 読めない理由を確かめずに同じ問題をくり返す:「短い針の読みちがい」なのか「長い針の数え方」なのかで、教えることが変わります。くわしくは「時計が読めない2年生:どこでつまずいているかの見分け方」にまとめています。
時計は、1年生の終わりまでにすべて読めなくても、2年生、3年生と学年が上がるあいだに何度も出てきます。学年ごとの流れは「時計の読み方は何年生で習う?」をご覧ください。
「なんじ」の練習には、無料ゲーム「とけいの ほしあつめ」の「なんじ」コースも使えます。時計を読む問題と、針を動かして合わせる問題が交互に出ます。
出典:文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 算数編」第1学年 C 測定(日常生活の中で時刻を読むこと)
文:こたえや編集部
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